パンの耳がすき

読書日記と、たまにカフェ日記。植物日記も。

【読書日記】続くから、怖いのかもしれない。

鷹子の心は激しく揺さぶられた。それは、樹王の、生きとし生けるものへの祈りのように思えたからだ。生きとし生けるものの中には、たぶん自分も入っていて、ナスミもいて、笑子も日出男もいるのだ。まさしく、生きることは、「続けっ!」なのだ。

ナスミが死んでも、鷹子の人生は続いてゆく。鷹子が死んでも、誰かの人生は続いてゆくのだ。 

 

「昨夜のカレー、明日のパン」というドラマから、木皿泉さんの大ファンになった。

 

どうやらこの小説もドラマがあるらしい。どっちが先だったかな?

 

とにかく、この二つの作品に共通しているテーマは「死」である。

 

大切な人の死に向き合う登場人物を、淡々と描いている。

 

ドラマ「昨夜のカレー、明日のパン」において、仲里依紗さん演じるテツコの、

「人は必ず死ぬんだからね!かずきみたいに死んじゃうんだからね!」

というセリフがとても心に残っている。

 

別になんでもない言葉にも思えるんだけど、日常でふと思い出しては、「ああ、そうだったそうだった」とか考える。

 

「死ぬ」つまり「終わる」。ドラマとか漫画で言うなら、「完」ってやつ。

 

ということはつまり、その反対がある。それが「つづく」。

 

私たちが怖れているのは、もしかしてこっちなんじゃないか。

 

なんて、本書を読みながら考えてみたり考えなかったり。