パンの耳がすき

読書日記と、たまにカフェ日記。植物日記も。

【読書日記】ほんとうに欲しいものは? 

人間は死んだら終わりじゃないと言いたい。私自身、亡くなった人から、たくさんの知恵と優しさをもらってきた。私たちは、そんな亡き人の遺産を受け継いで、今、ここに立っている。

 

そういう目に見えない、亡くなった人たちがつくり上げてきた、人間としてどうあるべきか、という道標があったからこそ世の中が回っているのに、気がつけば消費社会の価値観こそがすべてだということになっている。

 

今はまだ、昔の人がつくり上げてきた真っ当な考えが生きているから、世の中は何とか回っているが、数さえ集まれば勝ちという価値観だけでは、ますます格差が広がってゆくばかりで、人々の不満を押さえつけるための締め付けばかりが強化され、金持ちさえも住みにくい世界になるだろう。

 

もう少しだけ、遠くまで見る目を持つことはできないものか。この小説は、そんな気持ちもあって書いたものである。

 

ずいぶん長くなってしまったが、あとがきからの引用である。

 

この資本主義社会、消費社会は、一体どこまでいくのだろう。もう限界まで来ているのだろうか。私たちは、どこを目指しているのか。

 

この社会の怖いところは、自分がほんとうに欲しいものが何だったのかわからなくなるところだと思う。

 

色々なものを「欲しいと思わされて」いるうちに、ふと気づくと自分の手元が真っ暗になっている。

 

いつのまにか自分がいるのは誰かにしっかりと区切られ、整備された時間と空間で、ほんとうの自分の位置はわからない。

 

それでいいのだろうか?

 

自分のことを他人に決められて、いいわけがないと思う。